Nov 26, 2007

統括 「日本の対カンボジア経済政策」

1. はじめに
私にとって、カンボジアは距離的にはとても遠い国であるが、カンボジア人は心理的には同心である。その本当の理由は、教えられないので、ここでは日本の対カンボジア経済政策について取り扱う。平成19年6月14日に「日・カンボジア投資協定」が締結され、両国の経済の結びつきは順調に密接度を高めている。だが、この関係に至るまでには、1991年の「パリ和平協定」から現在までの間に、日本の援助による多大なる費用と労力が費やされていることを忘れてはならない。4連のレポートは、すべて共通した目的の上に作成した。それは、「将来のカンボジア経済の可能性について探る」ことである。つまりこれは、カンボジアの経済成長が日本経済にとって有益であるという前提をもとに、今後、尚一層の経済成長を促進するための方策を探り、その効果的、実行的に運用を行い、最終的に日本に利益還元を行うためのものである。
2. カンボジアの現実
経済発展の起点は、1991年の和平協定である。その後、平和と安全を保証、国家の再建、安定したマクロ経済環境の確立、そして資本主義の投資体制により、順調に経済は発展し続けている。だが、LDC(後発発展途上国)であるカンボジアは、貧困率34.7%と高く、その91%が農村部に集中している。また、実質GDP成長率8.4%、平均インフレ率5.8%、貿易収支(単位:百万ドル):1,033.5、海外直接投資FDI(単位:百万ドル):216.0であるが、輸出産業の大部分が、将来不安定になることが予想されている繊維産業であり、その次としては、基盤の弱い観光産業である。カンボジア政府は、カンボジアミレニアム開発目標(CMDGs)、四辺形戦略を策定し、貧困根絶と経済発展を推進している。
3. 日本の援助とカンボジア
国際援助は、2国間援助と多国間援助に大別される。日本の対カンボジア2国間援助の場合、日本は最大の支援国である。対カンボジア(1991年~2003 年)の援助資金供与の内、日本は総額の21.2%を占めている。日本の援助の特徴は、無償資金協力と技術協力に力点を置き、復興を全面的に支援していることである。一方、多国間援助では、世界銀行、アジア開発銀行(ADB)などによって、行われてきた。これらの資金の多くも日本が出資しており、その発言権も大きい。これらの両者の援助過程は、適切な管理の下に実行され、目に見える形、つまり物体、人材において大きな成果を挙げている。
4. 成功の理由
対カンボジア政策が成功している理由は、実行機関自体の調査、計画、実施、結果、評価の過程が徹底している事と、第3者による計画と結果の評価を、次回の案件に活かしていることにある。また、計画においては、相手国であるカンボジア政府の政策を基準とした、適地適策を図る努力が常行している点も挙げられる。つまりこれらは、その対象者である住民の実態を正確に把握し、それに対して的確な成果が得られる方策を現地の人間と議論しながら決定し、運用している。
5. カンボジアの開発展望
カンボジアは、2007-2008にかけて、成長拡大が若干減速すると見込まれるものの、依然として成長は目覚ましいと予測されている。今後、カンボジアに必要な要素は、(1)長期間の投資による、幅広い経済活動の拡充・向上、(2)経済規模を決定するインフラ・サービス、(3)目的意識の明確な教育、(4)社会保障を備えた労働環境や柔軟性のある労働市場、(5)リスク軽減による、企業の新規参入を促す環境整備、(6)「大メコン河流域圏(GMS)プログラム」、である。これらを、過去の成功例から手法を学び、応用させるべきである。そして、持続的にFDIを受入れ、経済を発展させるべきだ。

図1 FDI流入額
6. 感想
2007年5月、FNNが、日本のODAによって2006年3月に建設された上水道施設の転売計画をすっぱ抜いた。この背景には、カンボジア大物政治家と韓国企業「KTC」の利権関係が見え隠れする。だがこの問題の大元には、中国による世界資源争奪があり、その影響がいたる所にでてきていることを示している。カンボジア政府も中国との関係を深めつつある。だが、日本は過去の実績を持っており、それを最大限に活用し、カンボジア経済を主導し、発展させていくべきである。日本政府は、国際援助は外交手段であると認識を改めるべきである。私は、日本とカンボジアが地域及び国際社会の安定と繁栄に向けて協力する唯一のパートナーになる事を望む。

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