Dec 2, 2007

研究室紹介

豊○技術科学大学建設工学科 建築史研究室
■はじめに
 1997年4月~現在まで、豊○技術科学大学建設工学科建築史研究室は、泉○英雄助教授が指導しています。私は、修士1年生として、この研究室に所属しています。

 建築史研究は、「歴史的建築・住環境の形成過程や計画原理を明らかにし、その知と文物を後世に伝えてゆくこと」を目標にしています。建築史研究者を目指す人だけではなく、今日の建築・開発の実務には個人や地域の特徴を生かした手法が求められ、この学問は社会的に大きな役割を担っています。
 本研究室では、今後の日本の役割を考えて、アジア・太平洋地域を重点対象に、近世から近代の建築と都市の歴史、さらに修復保存について研究しています。

■研究テーマ
研究目的と対象
 研究の対象:研究のキーワードは、「移動」と「定住」、「グローバル」と「ローカル」、「交流」と「定着」、「更新」と「継承」です。具体的には、アジアとヨーロッパとの交流で生み出されたものと、長い時間をかけてその土地で醸成された建築文化を扱います。

以下、指導教官の研究、及び、一部の学生の研究主題
1)植民地期及び近代期アジアの建築史
2)イスラーム建築及び近代イスラーム様式復興運動
3)東洋建築史学史の研究

4)都市史と空間構成の研究

5)地域伝統技術の再評価

建築史研究室では新しい技術や材料を開発するのではなく、温故知新の精神に基づき、かつて普通に使われ、現在ではマイナーとなってしまった構法に光を当て、その技術、技能、材料などがどのようなものであったのかを明らかにしようとしています。これは後ろ向きの研究でなく、最も身近な材料を最も身近な技術で統合してゆくという建築の基本姿勢を学ぶものであります。
 世界人口の大多数が住むいわゆる開発途上国にあって、今後すべての住宅を鉄、コンクリート、ガラスなどの工業製品で住宅を造ろうとしたら、地球の資源が枯渇するばかりではなく、生物の生活環境が悪化する。地球環境の危機を叫ぶだけではなく、先進国研究者は率先して途上国における適切な技術と材料による住宅生産を考えなければなりません。地域技術の再評価とは、伝統的な、あるいは土着的な技術に着目し、その長所短所を明らかにしながら、その技術の発展を検討してゆくものであります。
つまり、その地域特有の建築技術を再評価です。
・木造技術と土壁構法
・アジアの木造構法の比較調査
6)建築・都市遺産の調査
 特に近世・近代期建設された建築について、その設計と建設過程を調査しています。
・豊橋近郊の近世・近代期の建築遺産の実測調査
・羽田八幡文庫(江戸時代後期、登録文化財)

・野依歌舞伎舞台(昭和4年竣工)

・湊町弁天社文化財調査
・豊橋ハリストス正教会聖堂文化財調査
7)建築史教育と歴史遺産研究の国際共同事業

・世界各国の大学との学術交流

 インドネシアのガジャマダ大学とバンドン工科大学、マレイシアのマレイシア工科大学とマラヤ大学、タイのチュラロンコーン大学とタマサート大学、中国の同済大学と精華大学、インドのデリー大学、オーストラリアの西オーストラリア大学などと、国際共同研究をやり、また留学生の受け入れと日本人学生の派遣をやっています。
 今年は、インドネシア人留学生1人(from Duta Wachana Christian University)、ドイツ人留学生1人(from Muchen Technical University)の男女2人です。
来年、日本人女性の学部4年生が、天津大学(中国)へ留学します。

■研究地域

三河、遠江、京都、輪島、福建、広東、雲南、上海、シンガポール、バンコク、ペナン、ジャカルタ、スラバヤ、スマラン、マニラ、チャエンナイ、コルコタ、コロンボ、ジョクジャカルタ、キン、タイ、ラオ、マレイ、バタック、ジャワ、バリ、トラジャ、マラバール、ウランバートル、タシケント、旧英領香港、旧英領マラヤ、旧仏領インドシナ(含カンボジア)、旧葡領アジア、旧蘭領東インド、旧西領フィリピン、旧英領インド、ワイマール、ミュンヘンなど

重点地域 : 東南アジア ~ 中国南部

■研究室の予定

来年の夏は、研究室全体で東南アジアの木造建築の調査へ出かける予定です。

対象地域:タイ、ベトナム、インドネシア、中国雲南省、 カンボジア



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